前回のお話では三角関係と題しまして、“心” と “身体” と “頭” が人の行動やそれにまつわる情動、身体の反応などと関わりがあって、その中でも “頭” が“心と身体”を上から支配してしまう独裁となりやすい事をお話しました。では具体的にはどのようなものが独裁なのでしょうか。
起きたくない
皆さんは、なんとなく体調が思わしくないな、、、とか、どこが痛いわけでも、熱があるわけでもないけどベッドから出たくないな、、、など、病院に行くほどでもないけど調子が良くない時、何を考え、どういう行動をとりますか?
学校やお仕事は、これくらいのことでは休むわけにいかない!と感じる方が大半なのではないでしょうか?
もう少し重い症状でも、例えば頭痛薬を飲めば何とかなるだろう…滋養強壮剤を飲んで気合を入れよう…と、ごまかすことが多いのではないかと思います。
80年代には『24時間働けますか?ビジネスマーーーン♪』なんてCMもあったくらいです。現在はここまでのものはないにしろ、今でもこういう心持ちの方は結構いらっしゃるように思います。
この時の心と体と頭の関係、どうなっているのでしょうか。
“頭” のセリフ
前回のブログでは、“心” と “身体” は野生だというお話をしました。野生とは生命の危機、すなわち、生きるか死ぬかということにとっても敏感なのです。
すこし調子が思わしくないからと言って生命の危機まで飛躍するの?!と思われるかもしれません。
しかしそれは、≪そんな大したことないじゃなかった≫ という過去の経験からはじき出された、すなわち時空を行き来できる “頭” が下した結論から出た思いなのです。
でも、今を生きる “心” からすれば、いつだって不快な思い=生命の危機なのです。
そして “頭” は以下のようなことを “心” に向かって言い続け、萎えさせるのです。
『こんなことで休んでいたら、誰に何を言われるかわかったもんじゃない』
『こんなことで休んでいたら、いつもずる休みするアイツと同じになってしまう』
『こんなことで休んでいたら、社会人としてダメだろう』
『こんなことで休んでいたら、給料が減ってしまう』
『こんなことで休んでいたら、癖になってしまう』
BY “頭”
これらはすべて、“頭” の言葉です。
よく見てみてください。〈今〉のことを言っている言葉は一つもありません。
“頭” は〈今〉が苦手。すべて過去の経験から未来を想像して、心と身体に一方的に押し付けています。
“心” と “身体” が “頭” にお伺いを立て、それを “頭” が却下した言葉なのです!嗚呼。。。
“頭” は、「するべきだ」や 「してはいけない」という言葉が好きです。
それに比べ、
“心” は、「好き」「嫌い」「~したい」「~したくない」という言葉しか使わないのです。すべて、今を表す言葉です。
心の反応
このように言い続けられた “心” はどうでしょう。
そもそも権力を持っていない “心” です。必死に “頭” に陳情しても、却下されてしまいます。
それを繰り返すうちに心は、「うちのボスは希望を伝えてもすべて却下するから、もう言うのやめよう…」となるわけです。
そんな風になった心のこと、ちょっと擬人化して考えてみてください。なんか気の毒でかわいそうじゃないですか?部屋の隅に三角になって座っているかのようじゃないですか?
その時の図がこんな感じです。
“心” が “頭”(ボス)に陳情する力は弱く、“頭” が上から押さえつける力は倍以上なのです。
どう頑張ってもフタが持ち上がらない…
そうなると、一心同体の“身体” は、「私が言わないとダメみたい?」と強硬手段(重めの体調不良)に出るのです。
ここまでで、身に覚えのある方も多いのではないかと思います。
「じゃあ、ワガママし放題がいいの?そんなの現実的に無理じゃない?」と思われる方も多いかも知れません。
これは決して、自分を甘やかしてワガママでいなさいという意味ではありません。
問題解決の方法はたくさんある
このブログでは、心のことを分かりやすく解説し、日々生きやすくするヒントにして頂けるように始めたものです。
しかし、こうすれば万事OK!!みたいな簡単なことじゃないことの方が多いわけです。
なのに世の中、簡単!便利!早い!すごい!!!みたいなものの需要がやはり多い印象ですよね。
私はそもそもそこにも問題があると思っています。
また、“頭” の独裁ぶりが暴走してしまう理由も本当にたくさんあるのです。
これから少しづつこのブログに記していきますが、今日のトピックのかわいそうな “心” のこと、そうなんだ…そういうこともあるんだね…と自分を振り返って見てみる、それだけでずいぶん違うのではないかと思います。
またこの “かわいそうな心” の続きはいつか書こうと思います。
おすすめ書籍
今回も前回同様、精神科医 泉谷閑示先生の書籍をご紹介します。
三角関係のことをとても詳しく、そして分かりやすく書いてある、超おすすめ書籍です。
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